「白夜」と「青」
- てる でん
- 3月9日
- 読了時間: 2分
「白夜」と「青」
青を基調とした静寂な絵「白夜」に心惹かれ
日本画・東山魁夷について少し調べてみました。
東山魁夷は晩年、旅に出た北欧の地で、
数多くの山や海、森や湖を訪れ風景を描き続けます。
始めて訪れる場所なのに、遠く日本を離れた異郷の地であることを
忘れさせる安らぎと平穏が東山魁夷の心を満たしたようです。
自然に囲まれた港町神戸に生まれ、幼少期は海や川で一人、
スケッチをして過ごした東山魁夷にとって北欧の地は
言い知れぬ懐かしを感じる出会いとなりました。
東山魁夷は青年期、家業の借金、母、弟の病気、
戦争に召集された苦しい日々の中で、
人は自然の中の一部であること、
生きることがどれだけ尊いか身をもって体験します。
終戦後は帰還して末期の眼をもって制作を重ね
その後の東山魁夷の活躍は周知のごとく世界に認められ多忙になっていきました。
北欧の旅は つかの間の休息でした。
東山魁夷は画集の中で
【よみがえる春と短い夏、生の尊さを深く切実に表している北欧の自然。
生の喜びを知っているのはむしろ太陽に恵まれない北欧の人々ではないだろうか。
夏至祭の夜に焚く焔の色は喜びと祈りの姿である】と書き留めています。
国外問わず、たくさんの「青」をベースにした絵を画いておられます。
おおいなる自然への畏怖と生かされていることへの感謝、そして祈り。
私自身、白々しい朝から青空に変わるその時を感謝する毎日でありますように。
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