5)倍音(クジャク)の月
一年もだいぶ過ぎました。
5番目の月です。
冬に入ったにしては、暖かい日が続いています。
寒暖差が激しく、体調を崩していませんか?
私は先月引いた風邪が長引き、月の後半はほとんど家で最低限の
予定をこなしながら過ごしていました。
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少し体調が良くなると、たまってしまった予定や事をやっていまうので
なかなか治りません。
体調が悪いと気力もわかないようで、こんなときは身体が休みなさいと
言っているのだなと、日頃のせっかちを横に置き、だらだらと過ごしています。
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倍音の月
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キーワード:輝き・力を与える・指揮する
月感詞・『曽』(ソウ、ソ、コシキ、カサネル、カツテ、スナワチ)
熟語:曽雲・曽益・曽累・曽遊・曽孫
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元の字は「曾」で甑(こしき)の形。甑は湯を沸かして蒸気をのぼらせる釜の
上に、食材を入れた蒸し器を重なる二重構造の器であることから、曾は「こしき、
かさねる」の意味となる。
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「カツテ」は仮借といって、文字の意味に関係なく音を借りることを言います。
重なり合った古を思う文字、熟語を見ているとそんなふうに思えます。
ハレ暦も何重にも重なった想いが層になり、それぞれに影響を及ぼしている
と思います。
13の月も前の月と後ろの月の重なり、前の年と今の年、そして来年の年の
重なり、赤、白、青、黄の重なり・・・・・・先日、時由塾で「多様性」についての新聞記事を読みましたが、あれは
沢山が並列しており、バラバラな感じがしましたが、こちらは重なりあって
融合するような感じがします。
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いずれにしても重ねた層のどこをどれがけ使うかできっと個性がでてくるのだと
思うのです。
★『キッチン』 吉本ばなな (新潮文庫)
とても有名な本ですね。映画にもなりました。
これには「キッチン」、「満月」ーキッチン2、「ムーンライト・シャドウ」
の3編があります。今回私がお勧めするのは「ムーンライト・シャドウ」
です。もうすでに作品が世にでてから30年以上経っています。
でもこの作品達は私の中では色褪せてない。
「ムーンライト・シャドウ」は文庫で50頁あまりの作品です。それほど長く
ないので、読み切れると思います。
説明が難しいのだけど(短いのであらすじを言うと終わってしまいそうです)、
事故で最愛の人を亡くした2人が、その最愛に会える瞬間があることを知る。
時間を共有するというか、立ち合うというのか。
最愛の彼女と兄と亡くした柊は亡くなった彼女のセーラー服を身にまとい、
兄の恋人は形見の鈴を身につけて生活している。
立ち止まっている2人が前に進むための時間と儀式のような行為。
鈴と橋。この2つが向こう側とこちら側を繋ぐアイテムのようでした。鈴は古代、巫女が身につけ踊り神を迎えるための祝詞を捧げる時のものでした。読み終わったあと、ちょっと切なくてちょっと前向きになれる小説です。
余裕があったら、キッチン、満月もお読みください。
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